旅先で出会う“ご当地お菓子”には、その土地の文化や人々の暮らしがぎゅっと詰まっています。石川県をはじめ北陸地方で長年愛され続けているスナック菓子が、「ビーバー」です。スーパーの棚に並ぶ姿はカラフルで、どこか懐かしい雰囲気。今回は、北陸でしか出会えないこのロングセラー菓子の魅力をじっくりとご紹介します。
石川県内のスーパーを訪れたとき、お菓子売り場でひときわ目を引いたのが、赤・黄・緑・黒と色とりどりのパッケージが並ぶ一角。袋にはレトロなタッチのビーバーのキャラクターが描かれています。どこか昭和らしさを感じさせつつ、今の時代でも可愛らしく映るデザイン。思わず「手に取ってみたい」と感じる存在感がありました。
「ビーバー」は、石川県金沢市の製菓会社 北陸製菓(hokka) が1970年に発売した揚げあられです。北陸産のもち米を100%使用し、ひと口食べると「サクッ」と軽快な音が響きます。外は香ばしく、中は軽やかな食感。シンプルながらもクセになる味わいが特徴です。
名前の由来は少しユニーク。当時建設が進められていた北陸トンネル工事で活躍したカナダ製の掘削機「ビーバー」にちなんで名づけられました。トンネル開通を支えた力強い機械の名を冠したお菓子が、地元で半世紀以上も愛されていると考えると、なんだか胸が熱くなります。
発売当初は塩味が定番でしたが、今ではさまざまなフレーバーが登場しています。
白えび味:富山湾の名物・白えびの風味を効かせた上品な味わい
カレー味:スパイシーで食欲をそそる、子どもから大人まで人気のフレーバー
あおさ塩味:磯の香りが広がり、お酒のおつまみにもぴったり
のどぐろ味:高級魚として知られるのどぐろの旨みを凝縮
カラフルなパッケージごとに味が異なり、棚に並ぶ様子はちょっとした「ご当地スナックのミュージアム」。旅行のお土産として全種類買い揃えたくなる魅力があります。
「ビーバー」が長年北陸の家庭で愛されてきた理由は、飽きのこない味と食べやすさにあります。
小腹が空いたときのおやつに
子どもから大人まで楽しめる軽い食感
ビールや日本酒のおつまみとして相性抜群
特に地元では「家に常備しておきたい定番のお菓子」として親しまれており、親から子へ世代を超えて受け継がれています。観光客にとっては新鮮でも、北陸の人々にとっては生活の一部。そこに長寿ブランドならではの存在感があります。
「ビーバー」は北陸地方のスーパーや土産物店で広く販売されています。
石川県内のスーパー:地域密着型の店舗で必ず見つけられる定番商品
観光地の売店や土産物店:兼六園周辺や金沢駅構内でも販売
空港や駅の売店:小松空港や北陸新幹線の金沢駅でも購入可能
価格は一袋200円前後と手頃で、配りやすいサイズ感も嬉しいポイント。旅のお土産としても、自分用のおやつとしても気軽に手に取れます。
袋を開けるとふんわり広がる香ばしい香り。ひと口かじると「サクッ」と軽快な音がして、次々と手が伸びてしまう軽やかさがあります。味付けはしっかりしていますが後味は軽く、ついつい一袋食べきってしまうおいしさ。
白えび味はほんのり甘みを感じ、ビールと合わせると最高。あおさ塩味は磯の香りが際立ち、海辺の町で食べるとさらに風情があります。どの味も「北陸らしさ」を感じられる工夫があり、地域に根付いた菓子であることを実感しました。
「ビーバー」は、半世紀以上愛され続ける北陸限定の揚げあられです。サクサクと軽快な食感、バリエーション豊かなフレーバー、そして親しみやすい価格。すべてが揃ったお菓子だからこそ、今も変わらず地域に根付いています。
北陸を訪れたら、ぜひスーパーや駅・空港の売店で手に取ってみてください。一口食べれば、長年にわたり愛されてきた理由がきっとわかるはずです。旅の思い出に持ち帰れば、帰宅後も北陸の風景や空気を思い出すことができるでしょう。