
朝いちばんは坂の町へ|甘川文化村と金海空港の朝ごはん
釜山1泊2日の2日目。昼の便で帰るので、自由に動けるのは朝のうちだけです。
限られた時間でどこへ行くか——迷った末に選んだのは、山の斜面にへばりつくように家が並ぶ、あの村でした。
朝の光に、パステルの屋根が段々と|甘川文化村
朝8時前。釜山の西、天馬山の斜面に広がる甘川(カムチョン)文化村に着きました。
村の入り口で出迎えてくれたのは、パステルカラーの家々をそのまま体にまとった人型の看板でした。手のひらに小さな家を載せて、胸には「Welcome」の文字。
足元の植木鉢ではピンクの小花が咲き、坂の下からひんやりした風が上がってきます。まだ店も開いていない時間の、静かな入り口でした。
展望の効く場所に立つと、目の前に水色、桃色、クリーム色の四角い家が段々に重なっています。そのすき間に、まっすぐ立つ白いマンションが1棟。背後には緑の濃い山が迫り、稜線の上に朝の雲が湧いていました。
写真で見て知っているつもりでしたが、実際に立つと想像よりずっと立体的です。屋根が青、壁が桃色、その隣は黄色——一軒ずつ色が違うのに、全体では不思議とまとまって見える。どこを切り取っても絵になります。
もとは朝鮮戦争の避難民が身を寄せてできた集落で、いまは路地ごとに壁画やアートが置かれた、釜山を代表する観光地です。
とはいえ朝8時台の村はとても静かでした。歩いているのは数えるほど。屋上には洗濯物が揺れ、坂の途中では住民が買い物袋を提げて上っていきます。観光地の顔をする前の、ふだんの暮らしの時間に立ち会えた気がしました。
急な階段と細い路地が縦横に走っていて、少し下るともう自分がどこにいるか分からなくなる。迷うこと自体が楽しい村です。
最後の一膳は空港で|金海国際空港の朝ごはん
村を下りて、そのまま金海国際空港へ。搭乗までの時間で、最後の韓国ごはんにします。
トレイにのって出てきたのは、つやつやの白いごはん、韓国海苔をたっぷりのせたもやしのナムル、豚肉のコチュジャン炒め、それにスープ。小鉢にはキムチ、大根のキムチ、黒豆の煮物までついてきます。
もやしはしゃきしゃき、海苔は指で崩すとごま油の香りがふわっと立ちます。豚肉は甘辛くて、ごはんが止まらない。空港の食堂でこの充実ぶりなのが、韓国という国のすごいところだと思います。
食べ終えて搭乗口へ。窓の外には、昨日この空から見下ろした海が広がっていました。
1時間半の距離に、まったく違う景色がある
1泊2日、実質は1日半。それでも、海雲台の砂浜と看板だらけの繁華街、そして坂の町と、釜山のいろんな顔をひととおり見ることができました。
冷たいミルミョン、ウニをのせたユッケ、月見坂のパン屋、赤く光る広安大橋。ひとつひとつが、たった1時間半の距離にあることが、いまだに少し不思議です。
次に来るときは、市場をのぞいたり、温泉に浸かったり、もう少しゆっくり歩いてみたい。そう思わせてくれる街でした。



