
着いた日の夕方には、海雲台の砂浜へ|西面のユッケから釜山の夜まで
午前は関西空港にいて、夕方には釜山の砂浜を歩いていました。
足もとには細かい砂、右手には高層ビル、正面には水平線。海雲台に立ってようやく、短い空の旅で別の国へ来たことを、景色の大きさとともに感じます。
2026年9月5日から一泊二日の釜山へ。初日は西面で遅い昼ごはんを食べ、海雲台へ向かい、日が落ちたあとも海辺を歩きました。
一時間半の空の旅から、西面の食卓へ
午前十時半すぎ、関西空港からジンエアーで出発。機内でうとうとしているうちに、窓の下には入り組んだ入り江が広がっていました。

細長い砂浜、その背後の高層マンション、遠くの山並み。翼の先には、ジンエアーの黄緑色が見えます。飛行機でおよそ一時間半。国際線に乗っている実感が湧かないくらい、あっという間でした。
金海国際空港で入国審査を抜けると、到着ロビーには白いカモメのマスコット。「Busan is good」の文字と一緒に写真を撮ると、ようやく「来たな」という気分になります。

空港の外には軽電鉄の高架があり、白いタクシーが列をつくっていました。この日は車で市内へ。最初に向かったのは繁華街の西面です。
焼肉店に入ったときには、午後三時を回っていました。遅い昼ごはんのテーブルが、料理でみるみる埋まっていきます。

真ん中に鉄板、そばには煮えるチゲや韓国海苔、青唐辛子。氷の詰まったグラスまで並びます。その中でも主役は、ウニを添えたユッケでした。

ごま油と胡椒をまとった生肉に、オレンジ色のウニ。混ぜて口へ運ぶと、肉の甘みに海の塩気が重なります。初日からいきなり、釜山の贅沢に驚かされる昼ごはんでした。
石鍋のチゲは、届いたときにもまだ煮えています。まっすぐ上がる白い湯気の下には、ズッキーニや豆腐。赤いスープをいただくと、辛さより先にだしの甘みがきました。

鉄板では、ネギを巻き込んだ肉とエリンギ、大ぶりの青菜が焼けていきます。しんなりした葉で肉を包んでひと口。ここまで来て正解だったと、早々に確信しました。

西面の看板から、海雲台の水平線へ
食事を終えると、西面の通りへ。両側をハングルの看板が埋め尽くし、その突き当たりには緑の山が見えます。

賑わい方は日本の繁華街と似ているのに、文字と色が違う。歩くだけで、写真を撮る手が止まりません。
いったんホテルにチェックインしました。大理石の床にグレーの壁、丸いテーブルがひとつ。荷物を置いたら、すぐ次の目的地へ向かいます。

夕方の海雲台で、砂浜に降りました。街の通りから来ると、ここでは視界が一気に開けます。ビルと水平線、緑の丘が、広い浜の先にありました。

砂が驚くほど細かく、歩くたびにサンダルへさらさら入り込みます。赤い「HAEUNDAE」のサインのそばでは、九月に入っても泳ぐ人がいました。沖ではジェットスキーが白い筋を引いています。
波打ち際まで行くと、思ったよりも波が荒い。油断すると足首まで濡れます。傾いた日差しで、砂が金色に光っていました。

振り返ると、すぐそばに超高層の海雲台エルシティ。ガラスの壁は夕日を反射し、ビルの隙間から光が漏れています。海を見ていた顔を上げれば、今度はビルを見上げる浜でした。

月見坂のパン屋で、歩いた足を休める
浜から月見坂、タルマジキルのほうへ上がりました。レンガと土壁の「MUMU TERRACE CAFE」が現れます。

ゆるく曲がる階段は、一段ごとに明かりが仕込まれていました。夕暮れどきに灯る、その階段を上がって店内へ。
曲線のある空間に、パンがずらりと並んでいます。デニッシュや丸いクリームパン、チョコレートの菓子。裸電球と枯れ枝のオブジェもあり、洞窟に入ったような雰囲気でした。

選んだのは、明太子のようなソースがかかったパン、縞模様のデニッシュ、クリームをのせたタルト。アイスコーヒーも一緒にいただきました。

歩き続けた足に、冷たいコーヒーと甘いパンがじんわりしみます。海を歩き、坂を上がってきたところで、座ってひと休みする時間です。
ミルミョンで夕食、広安里で最後の海を
日が落ちたあと、食事は「해운대 가야밀면(ヘウンデ・カヤミルミョン)」へ。ひさしには「釜山郷土飲食1番街」と書かれています。
入口の赤い看板は「어서오십시오(いらっしゃいませ)」。壁の白い犬とおじさんのイラストも、町の食堂らしい顔をしていました。

頼んだのは、冷たい麺のミルミョンと蒸し餃子です。細い麺と冷たいスープに、ゆで卵、細切りの肉、大根、赤いヤンニョムがのっています。

すすると、甘酸っぱさと辛さが一度にきて、そのあとにすうっと冷たさが残りました。まだ夏を引きずった九月の体に、よく合います。蒸し餃子は、皮がもっちり厚めでした。
焼肉から始まったこの日の食事は、麺と餃子で終わり。でも、海をもう一か所見に行きます。最後は広安里へ向かいました。

海辺のデッキから、対岸の広安大橋を眺めます。主塔のライトが水面に長く伸び、足もとのタイルは赤い照明に染まっていました。寄せる波だけが白く光っています。
今日の昼に、あの空を飛んできたことが、もう遠い出来事のようです。着いた日にここまで回れてしまう、釜山の近さ。一泊二日の一日目は、明かりの映る夜の海で終わりました。




