
森を歩き、道連れに出会う|屋久島ヤクスギランドと海辺の温泉
せっかくなら、森の奥まで歩いてみたい。
屋久島三日目は、この旅のいちばんの目的地だったヤクスギランドへ向かいます。朝、宿の窓を開けると、これから向かう山なみは雲をかぶっていました。

安房から、車で山へ
この日はバスではなく、レンタカーで動きます。安房の「ニコニコレンタカー」で軽自動車を借り、前日に「山岳太郎」で借りておいたトレッキングシューズとレインウェアを積み込みました。雨でぬかるむ山道へ、足もとと雨具を備えて出発です。
安房から林道を登っていくと、ぐんぐん標高が上がります。車の窓を開けると、ひんやりと湿った空気が流れ込んできました。
車のレンタルは4,950円。この記事の金額は、2026年6月10日に訪れたときのものです。
雨上がりのヤクスギランド
標高1,000メートルほどの自然休養林、ヤクスギランドに着きました。環境保全の協力金800円を納めて、150分コースへ。屋久島の森を深くまで歩きたいと思って選びました。

森に一歩入ると、地面も、岩も、倒木も、分厚い苔に覆われています。早朝まで降っていた雨はちょうど上がったところで、濡れた緑がしっとりと光っていました。
頭を下げてくぐり、首が痛くなるほど見上げる
最初に現れた「くぐり栂(つが)」は、木が道の上にアーチをかけたような姿でした。

頭を下げて、その下を通り抜けます。自然がつくった門をくぐるようでした。
その先では、「千年杉」を見上げます。

首が痛くなるほど上を向いても、てっぺんは緑のなかに消えていきます。幹を伝う苔にも、長い時間の積み重ねを感じました。
ときめきの径では、足を止めて耳をすます
奥へ進むほど、苔と水の気配が濃くなります。「ときめきの径」では、木々のあいだからせせらぎが聞こえてきました。

水は苔の岩を縫い、巨石のあいだを抜けて流れていきます。驚くほど透き通った流れでした。

ときどき足を止め、ただ水の流れと鳥の声に耳をすまします。

また歩き出すと、太い杉の根を渡るように木道が続いています。雨に濡れた板は滑りやすく、一歩ずつ、足もとを確かめながら進みました。
150分が「肩慣らし」だという道連れ
やがて、遊歩道は本格的な登山道に変わりました。木の根と岩が階段のように入り組み、ときには手も使いながら登ります。

見晴らしのいい場所で記念撮影をしていると、後ろから一人の男性が登ってこられました。65歳で、その方も屋久島は初めて。ここから先、行程の四分の三ほどをご一緒することになりました。
お話をうかがって、驚きました。過去に人工関節の手術を受けていて、それでも翌日は往復10時間の登山に挑む予定だというのです。
今日のヤクスギランド150分コースは、その「肩慣らし」。
大きな手術を経て、65歳で、初めての島の山へ向かう。もし自分が同じ立場だったら、同じことを言えるだろうか。
森で交わした会話から、思いがけず大きな刺激をもらいました。
ひげ長老と仏陀杉、それぞれの姿
名前のついた屋久杉のなかでも、印象に残ったのがこの二本です。
「ひげ長老」は、苔と着生植物をびっしりとまとっていました。長老という名前が、その姿によく合っています。

2000年に、屋久島の小学生が名づけたそうです。
もう一本の「仏陀杉」は、こぶだらけの幹が大きくうねっています。

見る角度によっては仏さまの姿にも見えるといわれる木です。一本ずつ姿が違い、彫刻を見ているようでした。
小さな滝のそばで深呼吸
森のあちこちで、岩肌を伝って水が落ちています。苔むした岩のあいだを、細い滝がさらさらと流れていました。

差し込む光に苔が淡く光り、シダの葉先からは雨のしずくがしたたります。深呼吸するたびに、森そのものを体に取り込んでいるようでした。
下りの林道で、ヤクザルを待つ
森を歩き終えて車で山を下りると、道路のまんなかにヤクザルの群れがいました。

一頭は道に寝そべり、毛づくろいをしあう姿も。クラクションは鳴らさず、動いてくれるのをそっと待ちます。人が車で通る道でも、こんなにくつろいでいる。野生の生きものが暮らす島なのだと、あらためて実感しました。
下山の途中、ENEOS屋久島で738円分を給油して、午後は島の南西の海岸へ向かいました。
平内海中温泉、つかってみたら海水浴のよう
「平内海中温泉」は、干潮の前後に入れる海の温泉です。湯のみカップが並ぶ無人の場所で、協力金300円を納めました。

岩の湯船のすぐ目の前で、白波が砕けています。

ところが、この日は干潮の時間からずれてしまっていました。波がざぶざぶと、湯船のなかにまで入ってきます。
一応つかってはみたものの、お湯は海水と混ざって、すっかりぬるくなっていました。もはや海水浴に近い状態です。
湯泊温泉で、歩き疲れた足を休める
近くの「湯泊温泉」にも立ち寄りました。こちらも海に面した露天風呂で、囲いの向こうには水平線が見えます。

海を眺めながらのんびりつかっていると、トレッキングで疲れた足がじんわりほぐれていきました。
誰に気兼ねすることもなく、海と湯がひとつながりになったような場所で過ごす。この開放感も、屋久島の温泉で印象に残ったことでした。
雲のとれた山と、料理宿鱗屋の夕食
安房へ戻る途中、Aコープ安房店で飲み物などを235円分買い足して、前夜と同じ「料理宿鱗屋」へ。二泊お世話になる宿の、二晩目です。
窓の外は、朝とは違っていました。雨に煙っていた山なみは雲がとれ、夕方には稜線がくっきりと見えています。

夕食に並んだのは、魚のフライと、煮物や和え物の小鉢。前夜とは違う献立です。

揚げたての衣はサクサクで、みずみずしいレタスともよく合います。二晩目も飽きさせない、島の家庭の味でした。
明日は海を渡り、鹿児島へ。屋久島で過ごす最後の夜は、魚のフライと小鉢の並ぶ食卓でした。
屋久島の宿と移動を決める計画メモ
今回の屋久島滞在は、安房を拠点にした3泊4日。初日は飛行機で入り、最終日は宮之浦港から高速船で鹿児島へ向かいました。島の前後には大阪・京都での滞在もあります。
- 島で過ごした4日間
1日目:屋久島空港に到着し、安房で食事と町歩き。 2日目:サウスビレッジのコワーキングで仕事。 3日目:レンタカーでヤクスギランドと海辺の温泉へ。 4日目:安房から宮之浦港へ移動し、高速船で鹿児島へ。
- 宿を選ぶときは到着・出発地点と照らし合わせる
この旅行では初日に安房の「民宿とまり」、2・3日目に「料理宿鱗屋」に泊まりました。宿を探す際は、空港や港からの移動、食事の有無、チェックイン時刻を確認すると、滞在中の予定を組みやすくなります。
- ヤクスギランドへは車とバスの両方を検討
今回はレンタカーで森と海辺の温泉を回りました。ヤクスギランドには紀元杉線のバス停もあり、車以外でも向かえます。バスを使う場合は最新の往復時刻を確認し、歩くコースと帰りの便に合わせて予定を立ててください。
屋久島町のヤクスギランド案内- 150分コースは登山の装備で
歩いた150分コースでは、木の根や岩が続く道に入りました。環境省の案内でも、十分な体力と登山装備、携帯トイレが必要とされています。コース名の時間だけで予定を詰めず、休憩や天候も考えて選びたいところです。
環境省・ヤクスギランド150分コース- レンタカーは受取・返却場所まで確認
予約時には、到着する空港・港と受取場所、出発する港と返却場所を照らし合わせてください。今回のように飛行機で入り船で出る行程では、送迎の有無や返却後の移動も確認しておくと安心です。
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